国立教育研究所研究集録第6号板倉聖宣さんの論文

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 板倉聖宣さんの「日本における中等物理教育の歴史」という論文が載っています。1983年3月発行です。
 中等物理教育の教科書はかつては縦書きでした。それが横書きになったのはいつ頃だったでしょうか。それはだいたい第一次大戦の頃だったといいます。物理と化学の教科書は1922年には横書きが当たり前になったけれども、動物、植物、生理衛生、鉱物の教科書は縦書きのままで、1941年から1942年にかけて横書きになったそうです。また、物理実験がどの程度行われていたかについても考察し、実験がもっともやりやすい教材でも実験をないがしろにしながら実験の重要性を説くという実情を分析している。また、原子・分子論的観点から物性を説明していた明治初期の物理教科書に対して、中等物理教育が確立してきた頃の教科書はエネルギー的観点に立っていて、原子・分子論は出てこないことも論じている。
 板倉聖宣さんの論文を読んでいくと、こうした大変地道な研究をしていることがわかります。独創的な論文もこうした地道な研究の基礎の上に書かれているのだということがわかります。
 この研究集録は現物は入手してありません。教育センターの図書館にあったものをコピーしました。国立教育研究所の論文は各都道府県の教育センターにはそろっているはずです。