牧衷さんの話の中に出てきた本をまとめました。最近はインターネットで検索すれば古本も簡単に手に入ります。
『三つの戦術 ── 革命論の思想的背景 ──』
S.ムーア著 昭和39年刊 城塚 登 訳 岩波書店
当時280円 141ページ 絶版? 古本入手 数百円
ロシア革命が成功してドイツ社会民主党内でそれに対する態度が3つに分かれた。ローザ・ルクセンブルク,カウツキー,ベルンシュタイン。社会主義国はローザの路線。西欧,北欧の社会民主党はベルンシュタインの路線を歩んだ。その歴史的結果は?現在の日本共産党の路線はカウツキー路線である。
『レーニン最後の闘争』レヴィン著 岩波書店 品切れ
古本1000円位
レーニンの遺書が全文入っている。次の書記長はだれがいいか,レーニンはカーメネフを挙げている。カーメネフの姉はトロツキーの妻である。
『昭和という時代』中島健蔵著 岩波新書 品切れ
社会的雰囲気の重要性を最初に指摘。古本 ε00円
牧衷の歴史論では社会的雰囲気を重視。東大での卒論はニューディール政策を扱った。当時の左翼の見解ではニューディール政策は何の経済的影響ももたらさなかったというものだったが,牧衷は「少なくとも社会的雰囲気というものを考えたら,大いに影響があったと考えるべきだ」と主張した。
『海国兵談』 林子平述 岩波文庫 最近復刻版が出た。450円
日本でネイションの確立の必要性を最初に主張。
安部公房著『壁』の序文(石川淳執筆) 新潮文庫
「壁にぶつかったら廻り込め」の牧衷格言の源流
『夷齋虚實』 石川 淳著 文藝春秋社 511ページ
昭和51年刊 当時1800円
牧衷さん曰く「この中にある「模倣の効用」は模倣と創造の関係を指摘していて板倉聖宣さんの模倣と創造論に通じるものがある」
『ボルシェヴィキ革命』上・中・下 全3巻 E.H.カー著
みすず書房 定価 2万5000円 入手可
革命時のロシア共産党(社会民主党)内部での論争を詳述
『ロシア革命』 E.H.カー著 岩波現代文庫 1100円
『経済学の歴史』 J.K.ガルブレイス著 ダイヤモンド社
定価2600円 絶版? 古本1000円~2000円
たくさん出た本なので入手容易。著者はインド大使,ハーバード大学教授などを歴任。
経済学の入門書としてとてもよくできた本。経済学を勉強しようという人にまず第一に薦めたい本である。
『思想としての近代経済学』 森嶋通夫著 岩波新書 650円
「大変よくまとまった本」と牧衷さんは言うが,経済学の知識が乏しいものには難しかった。マルクスを近代経済学者に分類。マルクスとウェーバーは(学生時代にかじったことがあるせいか)よくわかったが,他の部分は難しかった。
この著者は岩波新書から『イギリスと日本』『続・イギリスと日本』『サッチャー時代のイギリス』『政治家の条件』などの本もある。
『現代のファシズム』 勝部 元著 岩波新書 品切れ
古本で500円~1000円
勝部元氏は『構造改良』(構造改良社)にファシズム論を寄稿
『国民国家とナショナリズム』谷川 稔著 山川出版社
世界史リブレット35 729円
牧衷氏のネイション論をさらによく理解するために役立つ。『牧衷連続講座記録集Ⅳ』の補足。ドイツとフランスに焦点をしぼって国民国家形成の特質の整理し,国民国家論の問題点を再検討したもの。コソヴォ紛争に見られるエスノ・ナショナリズムの意味に言及。
『OED』The Oxford English Dictionary. (OED) 20Vols Set '90.
著編者: ed. Simpson, J.A.
Weiner, E.S.C.
出版社: Oxford at the Clarendon Pr.
刊行年: 1990
版次: 2nd ed.
ISBN: 0-19-861186-2
MBN: 8815873
装丁等: Cloth
金額: YEN 360,000
NOTES: Prepared by J.A. Simpson and E.S.C. Weiner
全20巻 研究に最適。CD-ROM版もあるとか。すべての英単 語をそれが初めて使われた用例と文献を明示。『牧衷連続講座記録 集Ⅳ』の「ネイション概念の再検討」という講演で言及。
『OED』の成立については『博士と狂人』という本がある。
『博士と狂人』サイモン・ウィンチェスター著 鈴木主税訳
世界最高の辞書OEDの誕生秘話 早川書房 1800円
これは読み物としてすごくおもしろい。
『メカニックス』ショックレー著 日本放送出版協会 昭和43年刊
当時780円 絶版?
ノーベル賞受賞の物理学者が研究の戦略を説明。牧衷さんもよくこのやり方(本を積み上げて、読まないで時々見る。そのうちに気になるところが見つかってくるそこを理解しようとする・・・・等。シナリオを書くために勉強するときにこのショックレーのやり方をしているそうです。
『物理学はいかに作られたか』ファインマン著 ダイヤモンド社
理論を聞いたらその理論が正しいとしたらどういうことが起きるかをイメージすることで理論の正否を直観的に判断できる。
『現代社会主義の省察』渓内 謙著 岩波現代選書 1978年刊
当時1300円 絶版?
『群となわばりの経済学』 日高敏隆著 岩波グラフィックス
1983年刊 1200円
絶版? 牧衷さんが実質的に書いた本である。古本で時々出る。
サンバードという鳥がどのような戦略で生きているかを経済学の手法で解明。
『ユーゴスラヴィア』岩田昌征著 NTT出版 1994年刊
2800円
牧衷さん曰く「現代の社会主義国の崩壊の意味が本当にわかっているのは岩田昌征だけだ」この著者には次の本もある。(未読)
『ユーゴスラヴィア多民族戦争の情報像』岩田昌征著
御茶の水書房 2800円 1999年
『現代社会主義・形成と崩壊の論理』岩田昌征著
日本評論社 5500円 1993年 品切れ
『ヨーロッパとは何か』増田四郎著 岩波新書
『牧衷連続講座記録集Ⅰ』の牧衷講演「ヨーロッパとは何か」を補足する内容。著者はヨーロッパ中世史家(故人)
『翻訳語成立事情』柳父 章著 岩波新書
自由・美・個人・権利・社会など明治になってから翻訳語として作られた言葉とそのもとの意味との違い,翻訳語が意味がよくわからないまま一人歩きした事情などが書かれている。『牧衷連続講座記録集Ⅲ』の「自由とは何か」などを理解するのに役立つ。
『松川裁判』広津和郎著 初版 筑摩書房 昭和30年
古本屋で1500円~3000円くらい。
中公文庫からも出ている。インターネットで検索すれば入手容易。
松川裁判ははかばかしく進展しなかった。そこに広津和郎が新たな方針,新たなスローガンを持ち込んだ。その結果・・・。
『松川事件と裁判─検察官の論理─』広津和郎著/岩波書店/昭39
『「スターリン言語学」精読』田中克彦著 岩波現代文庫
スターリンの「マルクス主義における言語学の諸問題」の全訳を所収。本書所収「牧衷運動論はいかに生まれどう役だったか」でスターリンの論文に言及。