大阪市教員採用試験

大阪市の教員採用試験が面接重視から筆記試験重視に変わるそうです。
①戦前に軍部の命令で中学校入試で筆記試験が禁止されたことがあります。
板倉先生が受けた中学校入試は面接と懸垂の体力テストだけだったそうです。筆記試験では本当の学力は測れないということで、軍部が強行した制度改革です。しかし、この改革は1年限りで終わったそうです。
②宮城教育大で「共通一次試験では教員になる適性のある学生は選抜できない」ということで、共通一次試験をしないで、太鼓を叩かせるなどの実技試験で入学者を決めるということをやったこともあります。
 この入試改革の結果、学力の低い学生ばかりが集まることになり、数年でこの入試改革は中止となり、共通一次試験に復帰ししました。
③今回の大阪市の筆記試験の復活も同様の結果になりました。
今、大学入試のあり方を根本的に変えるという試みをしようとしています。その一部は既に先送りになることが決まりました。導入されても数年で元に戻るでしょう。学力重視の弊害よりも学力を重視しない弊害の方がはるかに大きいからです。
教育改革はしばしば無責任に提唱され、世論の後押しもあって進められますが、予想外の結果をもたらして、元に戻さざるを得なくなるのです。
教育改革を本気でやろうと思ったら、仮説実験授業のように、地道に進めなければ成果は上がらないことを歴史は示しているように思います。
以下、朝日新聞の記事
教員採用試験、面接より筆記重視へ 大阪市教委が転換
朝日新聞デジタル 3月8日(火)5時8分配信
教員採用試験、面接より筆記重視へ 大阪市教委が転換
大阪市立学校の教員採用試験

 大阪市教育委員会は今夏に実施する市立学校の教員採用試験について、筆記を重視する方式に切り替える方針を固めた。基礎学力を備えた人材獲得をねらう。全国的に人物本位の面接を重視する傾向にあるが、その逆をいく大阪市教委の異例の方針転換は議論を呼びそうだ。
  市教委関係者によると、これまでの採用試験は筆記・面接による1次選考と、受験教科により実技を加えた2次選考で合格者を決定。得点配分は筆記などと面接でほぼ半々とし、合計点の高い順に合格者を出していた。このため筆記で低得点だった合格者もおり「教科の中身に習熟していない若い教諭が目につくようになった」と筆記重視の意見が高まったという。
  今夏実施の試験では、1次選考の筆記試験で基準点以上の受験者のみが面接に進めるようにする。2次選考は筆記・教科により実技・面接のいずれかが基準点に満たなければ不合格とし、合格者は筆記・教科により実技の得点の高い順から選ぶ。ただ、児童とのコミュニケーションが求められる小学校教諭は、合格者の2割程度を面接の評価が高い順から選ぶ余地を残す。
  市教委幹部は「教員には熱意や使命感のほか、最低限の知識と教養が必要だ。バランスのとれた人材を採用するための方針転換だ」と言う。(長野佑介)