断熱膨張を考えるための問題

1999年に以下のような問題を考え、上田仮説サークルで解答を募集しました。しかし、解答してくれる人は現れませんでした。
次の問題をどう考えるか考えを聞かせていただければうれしいです。

断熱膨張を考えるための問題
1999年11月27日
[問題]
「気体を断熱膨張させると温度が下がるが、自由膨張させた場合は温度が下がらない」と言います。断熱膨張の時は、膨張するとき気体が外部の気体に対して仕事をするので、仕事をした分だけ持っていた内部エネルギーが減るが、真空中に気体が放出される自由膨張の時は仕事をしないので、温度が下がらないと言うのです。本当でしょうか。
 Aさんは、次のように考えました。
 図のように2気圧の空気を入れたフラスコAと、真空のフラスコBとをつないで、コックを開けたら、この場合フラスコAの中の空気は、真空への膨張をすることになる。だから、自由膨張で温度は変化しないはずだ。
(図省略)

 しかし、コックを少し開けてすぐ閉めたとしよう。このとき真空だった方が0.5気圧になるまで空気が入ったとしよう。その後再び、コックを開けると、こんどは0.5気圧の空気を押し動かすと言う仕事をするのだから、今度は内部エネルギーが減り温度が下がることになる。
 ①全部一度にコックを開けて空気が移動したときと、
 ②途中でいったん止めてまたコックを開けた時とで、
温度の差が出るとは考えられないから、気体の自由膨張で温度が下がらないという説はおかしいことになるのではないか。
 そこでその実験を実際にやってみることにしました。
①コックをいっぺんにあけて空気がいっぺんに膨張したときと、
②コックを少し開けてすぐ締めて、それからまたあけた時とでは、フラスコAの空気の温度に差が出るでしょうか。フラスコAとフラスコBは外部と熱のやりとりをしないものとします。
予想
ア.いっぺんに開けたときはフラスコAの空気の温度は下がらないが、  少し開けてからすぐ閉め、その後開けるときはフラスコAの空気の  温度は下がる。
イ.どちらの場合もフラスコAの温度は下がらない。
ウ.どちらの場合も、フラスコAの温度は同じように下がる。
エ.その他

考え方
 分子運動で考える。
 仕事で考える。
 エネルギー保存の法則で考える。
思考実験
仕事をする
 気体A    →    気体B
温度が下がる 温度が上がる。

実験してみると温度はどうなるでしょうか。

[応用問題]
 大気は上昇するとき断熱膨張して温度が下がるが、その断熱膨張した空気は何に対して仕事をしたのか。仕事をされたものは温度が上がるのか。