憲法は政府を縛るものではなく国民を縛るもの

憲法の問題を憲法の条項の問題だけとして捉えないで、憲法が日本国民に命じていることはどういうことなのか、これまた、無責任なんだよ。日本国民に命じていると思わないんだから。政府に命じていると思っているんだから。冗談じゃないよ。憲法は国民を縛るものなんです。「憲法は政府を縛るものだ」なんていう時代遅れの憲法観を持っていてはこれからはやっていけませんよ。必ず負ける。国民を縛るために憲法があるということを明言しているのはイタリア憲法とドイツ憲法だけですが、イタリアとドイツがそうだっていうことは非常に象徴的なことで、民主主義の暴走を経験した国ということですね。そういう憲法観が出てきたのはやっぱり20世紀後半からです。それまでは民権と国権の対抗で考えて説明いた。でも、その考え方ではもう足りないだろうと考えているんです。そういう昔の理屈に乗っかって改憲論者は言っているからね。「今の憲法は国民の権利ばかり書いていて国民の義務を書いていない。」なんてね。冗談言うなと。これは全部国民の義務だ。あんたらの言うことは間違っている。これは政府だけ縛っていると思ったら大間違いだ。政府だけを縛っているという意識で政府をやっている奴には憲法を論じる資格がないと言ってやっつければいいんだよ。全然わかっていないんだと言って。そういうけんかをやっていかないと駄目ですね。
 
これは牧衷さんの第9集の次に出すつもりの本の原稿の一部です。