憲法について

牧衷さんの「憲法の争点──二つの国家観」という講演のテープ起こしをしています。実にタイムリーな内容です。講演したのは2007年11月
以下、一部を引用します。
 実は新憲法国民主権をいい加減にぼやかしております。英文の憲法と日本文憲法を比べると日本文の憲法の前文のところは日本文として意味をなしていません。「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」わけがわからないものになっている。さすがに英語の構文は明快でございまして、主語と述語は明解ですから、いくら挿入句を差し込んでもそこは変わらない。この部分は英文では挿入句であることは明解です。主文じゃないんです。英文ではWe(, the Japanese people, acting through our duly elected representatives in the National Diet, determined that we shall secure for ourselves and our posterity the fruits of peaceful cooperation with all nations and the blessings of liberty throughout this land, and resolved that never again shall we be visited with the horrors of war through the action of government, )do proclaim that sovereign power resides with the people and do firmly establish this Constitution. で挿入句を除いて読むとWe do proclaim that sovereign power resides with the people. 「主権が国民にあることを宣言する」となっている。acting through our duly elected representatives in the National Dietの英文を「国会を通じて行動し」としている。高校生程度の英語力でこのactという言葉の意味を考えるとactというのは「行動する」という意味しか頭に浮かばない。英語圏に住んでいる人だったら、actという言葉を聞けば、「行動する」というのと一緒に「法律」という言葉を思い浮かべるはずです。国家環境政策法はNational Environmental Policy Actです。英文の方は少なくともこのくらいのことははっきりわかる。actを「行動し」と訳すのは誤訳だとわかる。