オバマ政権の支持率低下をどう考えるか

牧衷さんの講演の一部を紹介します。
オバマ政権の支持率低下について
 オバマは政策を思うように進められていないですね。たとえば年金システム。アメリカの年金システムを変えなければならない。オバマの内政の一番の重点目標です。だけどそれに対する反対は根強いんです。これは誤解によるんです。アメリカ人も生活に困る人を助けるのは社会の責任である。すなわちオレの責任であるとは考えられないのです。生活に困っている人のことを自業自得だと考えている。それがあるからオバマの政策に対して労働者がかみついたりするんです。
 英語にrespectableという単語があるんです。きわめて英語的な用法の一つで「政府の社会給付を受けていない」という意味なんです。そういう「国からの施しは受けない」という気風を持っているというのは、給付を受ける方もおかしいんです。受ける方が卑屈になっていればどうしようもないよね。
 オバマの支持率は簡単に回復すると思います。アフガンから完全に撤退すれば簡単に支持率が回復します。戦争をいつまでも続けているから不人気なんです。すぐアフガンから撤退すると思っていたらアフガンに増強するから支持率が下がったんです。オバマはそもそも全面撤退したいんです。だけど「全面撤退」と言ってしまえば、あのときのアメリカでは選挙に勝てない。
 だけどイラク戦争は不人気きわまるんです。イラク戦争はまったく大義のない戦争だってことをアメリカ人はみな知っている。だから一刻も早く撤退したい。
 でも、それがまたうまく行っていない。それは軍隊言うことを聞かせるということは大変なんです。日本だって軍隊言うこと聞かせるのは大変なんです。そう簡単に自衛隊変えられないですよ。中国だって人民軍の意向無視しては何もできない。アメリカだって国防省の意向を無視しては何もできない。
 日本の外交の間違いは国防省のハラをうかがって国務省と交渉しなかったことです。国防省でやっていた奴が大使になってくるんです。それと交渉するんでなく、それをすっとばしてワシントンと直接交渉すればいいんです。国務長官と交渉すればいいんです。そういう回路だってないわけじゃないんです。軍隊の息がかかっていない大使もいたことはいた。ライシャワーがそうですね。ライシャワーのときはたとえば沖縄の米軍の暴虐はおまえ何とかしろと面談したら何とかしたと思います。