戦略を間違えると必ず負ける2

牧衷さんの講演の一部を紹介します。

普天間基地問題を戦略的に考える

 だいたい、戦略的に言うとアメリカが絶対離さないところが2つある。沖縄と厚木です。厚木は極東米軍の頂点・頭脳ですからあそこを動かすわけにはいかない。変えようがないという前提に立った上で何がやれるかと言えばやれることはあるんですよ。

日米地位協定の改定

 一番沖縄の県民が困っていること、爆音や不時の墜落でおっかないということもあるけれども、何よりも困っているのは占領状態的な状態が今も続いているということなんです。なんで続かしているかというと、日米地位協定というやつがあるからなんです。この日米地位協定を沖縄に基地を作るのはいいと。だけどもそれをやるからには地位協定を改定しろと。米兵が一歩でも外へ出て、犯罪を犯したらその逮捕権から裁判権は全部日本にあると。日本の警察は有無を言わさずとっつかまえて留置所にぶち込んで日本で裁判やると。今それができないんだから。それを米軍に飲ますことができたら沖縄における米兵の横暴ぶりはかなり減るし、沖縄県民はかなり安心できる。そこへ話を持っていかなければいけない。

植民地独立か条約改定か
  ──戦略を間違えていれば頑張っても勝てない

 共産党社民党の人たちが間違えているのは、基地問題というのは基本的には条約改正問題なんだということがわかっていないことなんです。これは不平等条約の改正なんです。不平等条約の改正を明治の日本は実に40年かけてやったんです。裁判権なかったり、関税自主権がなかったり、日本の主権なんかないに等しい。明らかに不平等条約です。それを改正するのに実に日露戦争の後までかかったわけです。そのぐらいの時間とその間に日清、日露という大戦争をやるということまでやってやっとできたことなんですね。だから、今の沖縄の基地問題だって条約改正問題である以上、そう簡単な話じゃないよということがまずみんながわかっていない。
 条約改正の交渉だということをかつての日本共産党は全然わかっていませんでした。ぼくが喧嘩したのはそれで喧嘩したんだから。日本共産党の主流は「日本はアメリカの植民地であり、今の闘争課題は日本の植民地独立だ。」って言うんだから。「植民地独立だからこれは革命の一段階なんだ。植民地独立革命だ」と。それに対して僕が主張したのは「そうではない。主権が侵害されているのは事実であるけれども、日本に主権があることもまた事実だ。だからこれは条約改定交渉だ」と。「そんなものは革命の一段階をなすものではない。それを革命の一段階として思ってそういう戦略から考えて先述を考えたらことごとく間違えるよ。」と言って喧嘩したんです。それで共産党の戦略のもとでされた闘争はことごとく間違えてつぶれたんですね。現実は条約改定交渉として進んでいますよ。「日本に主権がない」なんて今だれも思わないでしょ。普天間基地が市街地にあって危なくてしょうがないんですね。いっぺんになくすわけにいかないから。地位協定をする交換取引に持ち込むべきだったんだよ。ところが「アメリカは沖縄にものすごく固執するぞ。」とそう見誤っているんだよ。