戦略を間違えると必ず負ける4

牧衷さんの講演の一部を紹介します。
 
国防省にとっては沖縄基地は戦場
 
  地位協定ないわけにはいかない。その内容がきわめて不平等に出来ている。それは頑張れば平等にできる。ところがそれを国防省と交渉するからなかなか言うこと聞かないんですよ。国防省にとっては沖縄基地は戦場なんだもの。戦場で兵士が何やろうが略奪・強盗自由自在だよ。どこの国の軍隊だって同じだよ。
 
せめてドイツの地位協定並にしろ
 
 日本でだけじゃない。ドイツでやっているかと言えばいいんですよ。ドイツの基地で基地の外で米兵がドイツの女性を殺しちゃった。これをドイツの警察がとっつかまえるのをけしからんとおまえら言うかと。ドイツとの協定ではそんなこと言えないですよ。せめてドイツ並みにしろというより、強烈にやったらいい。「人種差別じゃねえか。」と。誰も言わないんだよ。厚木や三沢の地位協定も同じです。でも沖縄の場合は占領地だったから占領地だった頃のやり方が残っているんです。厚木などの本土ではさすがに遠慮するんです。要するに日本の警察は出来ないんです。アメリカがそういう犯人を捕まえて日本の警察に引き渡さなければ何も出来ないんです。それは厚木、横田でそれをやったらエライことになるってことをアメリカもわかっているから、地位協定ではこうなっていますが、特別の配慮をもってただちに引き渡しますとなるんです。厚木ではアメリカは特別な配慮をするんです。沖縄では特別な配慮をしないんです。
 そうするとこれは沖縄の問題にとどまらない。日本全国の問題になる。日本がその闘争に勝利すればものすごく喜ぶのは韓国です。韓国は日本以下の不平等条約を押しつけられていますから。せめて日本並みにしてくれというのが今の韓国の要求なんだから。

 
基地問題ではなく条約改定問題
 
 問題の設定の仕方が間違っているんです。これは基地問題じゃないですね。条約改訂問題なんです。基地問題というけれども、米軍の都合で基地があるんじゃないんです。日本の都合でもあるんです。沖縄では占領状態のまま続いているんです。占領時代には沖縄は米軍の都合だけで統治されていましたから。それがそのまま残っているんですね。沖縄軍司令部の司令官はそのまま申し継がれていますから、この程度のことはやっていいとなっているんだよ。そこらへんのところが想像力の問題だよね。そんなこと簡単に想像出来るんですよ。
 どこに問題があるか。沖縄県民の不満はあそこに基地が集中しているということ自体ではないですね。集中していることに付随している問題なんです。付随して起こる問題ならいくらでも解決することができる。
 
運動のやり方
 
 だからチャンスだったんですよ。今から地位協定の改定と言い出してもうんと言わないでしょう。ほんとに喧嘩のやり方知らないというか、運動のやり方を知らないんですね。つまり、「基地反対」というスローガン立てることは間違いじゃないんですよ。あるところまで行ったら「基地反対」と言ったって基地がなくならないよってことはわかっているんだから、わかっているんだから、どうにかしろと。どうにかして勝利の経験を持って闘争を終わるという考えがないんですよ。無謀にも負ける決まっているスローガンで突っ走るから闘争は負けになるんですね。そうするとやったってしょうがないということになる。