牧衷さんの雑談

牧衷さんの雑談です。
 牧衷さんは7年制の東京高校(旧制)の出身です。当時の旧制高校生は無条件で旧制帝国大学に進学出来ました。牧衷さんが卒業するはずの年に卒業すれば旧制東大に入れるはずでした。その年が東京高校最後の年、東京高校が廃校になるのだから単位不認定で留年となっても留年して残る高校がなくなるので留年などしないだろうとタカを食っていたら、留年させられてしまったそうです。そのため、やむなく新制の東大に進学したのだそうです。
 さて、その高校の試験で「ルイセンコ学説に反対」という先生に生物を教わっていて、試験でルイセンコ学説に賛成の立場で答案を書いたら49点という点をつけられたそうです。実は49点以下は不認定です。その先生曰く、「若い人がこういった学説に飛びつくのはよろしい。しかし、飛びつくならもっときちんと勉強しなさい、いいかげんな飛びつき方ではだめだ。」ということで、留年=退学が決まったそうです。ルイセンコ学説というのは「獲得形質は遺伝する。」という学説で一世を風靡した学説です。ルイセンコはスターリンと結びついて、「ルイセンコ学説は弁証法唯物論に基づいているから正しい。」として反対学説の学者を政治的に追い落としました。このこともきちんと調べると面白いと思っています。
旧制高校の先生の単位不認定の理由はある種の爽やかさを感じました。