教頭会での発表2

4 具体的取り組み
(1)目標の設定 死なないこと、毎日学校に来ること、勉強すること
 普通、学力をつけることが主たる目標となることが多いが、本校定時制の課題はそれ以前の「学校に毎日来る」ということが大切である。
 そこで目標を次のように設定した。
 ① 一番大切なことは死なないことである。
 ② 二番目に大切なことは毎日学校に来ることである。
 ③ 三番目に大切なことは勉強することである。
この三つの目標を入学式の日に生徒に示し、また職員にも示した。
 ① 死なないという目標
副任、副々任の決定と担任不在時の責任者を明確にした。
 携帯電話による緊急連絡網を作った。
   帰りの電車の巡視
     帰りの電車に乗る生徒の危険がないように、職員が当番で電車に乗ることを確認するところまで巡視している。また、生徒の身に危険の可能性がある場合は即刻職員が動いて生徒の所在を確かめるようにしている。13年6月頃5時間目にいるはずの女子生徒がいないという教科担任からの報告ですぐ職員が動き学校周辺、駅周辺、家庭との連絡、生徒の携帯へメールを入れるなどの手を打ち、状況によっては警察にという体勢を取ったことがあった。このときはその生徒が授業をさぼって学校周辺にいたことがわかり、大目玉と共に教師が生徒の安全に最大限度力していることを示すことにもなり、生徒たちに「授業をさぼれない」と感じさせると共に、安心感を与えたようだ。
 ② 出席率の向上
     欠席の連絡を徹底させている。連絡のない場合は必ずこちらから連絡を取るようにしているので、無断欠席は少ない。不登校傾向の生徒については情報交換しあい、電話連絡や家庭訪問をするとともに、登校刺激を与える方がいいかどうか慎重に見極めるようにしている。高校では欠席が多いと進級できないので弾力的に扱うことにはしているが、単位認定については保護者と本人によく説明し、トラブルとならないように気をつけている。
 ③ 学力の向上
     授業を大切にさせる。この点についてはいまだ不十分である。
 英語と数学での習熟度別授業
      2学年を3つのグレードに分けて、生徒に即した指導が出来るようにしている。職員の多くは、グレードは4つくらいに分けたいという意見もあるが、持ち時間の上から現行のようにしている。
 テストを受けさせる指導
      テストについては恐怖心を持っている生徒も多く、準備がよくできていないとテストを休んでしまう傾向が見られた。そこで、テストを休むのはさぼりなのか、いわゆる病的なものなのかをよく見極め、さぼりに対しては厳しく(追試を受けさせるだけでなく、課題を出す)病的なものについてはその生徒に即した指導をするようにしている。
100点を取らせる指導を
      テスト前に教頭から職員に次のような話をしている。「テストで生徒が点を取れるように指導して、何とか点を取らせるようにしてください。生徒は実力がつくと100点とれるようになるのではなく、100点を取ると実力がつくのです」
     これは必ずしも問題を易しくということではない。結果的に高得点を取った生徒はいい意味で競争し頑張ることに張り合いを持つようになっている。授業がゆっくり進むようでも、4年間じっくり取り組めば学力もつく。
      職員には「ゆっくり楽しくやっているようでいて、よく考えるとだいぶしぼられちゃったなー」と感じるような授業がいい授業だと言っている。
目標の設定は、教員の努力の向ける方向を示し、評価基準をはっきりさせる効果がある。何を評価し、何を評価しないかをはっきりさせることが、職員の力を一つにする上で効果的である。このことによって主観的には熱心だが効果が上がらない教員の指導も容易になる。

(2)クラスを掌握できない教員をどう指導するか。
 うまく行かない教員はたいてい自分なりに、うまく行かない理由を分析している。しかし、その分析は見当違いである場合が多い。(適切な分析が出来ていればうまくいくはずである)クラスの生徒をどうとらえどう指導したらいいかを教えるのは教頭の責務である。
 うまく行かない教員 学級崩壊、生徒は担任不信、担任をばかにして一切言うことを聞かない。生徒を指導すると反発して口も聞かなくなる。
 した指導 「生徒のために」と「どうせ人の子だ」の両方を意識できないとだめ。教師は親ではない。人の子だから指導できる。教師が親のようになってはいけない。
 言うことを聞かせようと無理をしない。いけないことをしたらいけないと言うが、生徒がそれを認めなくても気にしない。
 やらなければいけないことはたくさんあるが、まず出来ることを一つやる。一つが出来れば次のことも出来るようになる。
 生徒を変えようとしない。他人と過去は変えられない。生徒が変わるときは自分で変わろうと思ったときだけだ。変わるための条件を作ってやったり、そのための知識を教えたりはするが、生徒を変えようとしてはいけない。
 生徒全員をよくしようと思わない。一人が変わればいい。それは次第に全体に波及する。
保護者と絶えず連絡を取る。「お宅のお子さんは言うことを聞かなくて困るから叱ってください」ではダメ。よいことがあっても悪いことがあっても絶えず保護者に連絡する。保護者は自分の子どもがどうしているかを知る権利がある。
 結果的に生徒は以前より素直になり、担任の助言を受け入れる生徒も出てきた。