恋愛はいつはじまったか(覚書)

8年前に研究メモとして残していた、未発表のメモを掲載します。
 阿部謹也という歴史学者(故人、ドイツ騎士団の研究家)はその本や講演で恋愛が始まったのは12世紀である。「「個人」が成立しなければ恋愛は成立しなかった。個人が成立するのが12世紀である。」と言っています。本当でしょうか。そんな問題意識を持っていたところ偶然読んだエンゲルスの『フォイエルバッハ論』にそれを裏付けるような記述があったので、それをメモしたものです。
以下研究メモ
恋愛はいつはじまったか
エンゲルス著『フォイエルバッハ論』岩波文庫47ページ9行目
 「ところで、人と人とのあいだの、特に男女のあいだの愛情に基づく関係は、人類が存在する限り存在してきた。特に恋愛は過去800年のあいだに発達をとげて、この期間のあらゆる文学の欠くことのできない廻転軸となるような地位をしめるにいたった。」
 阿部謹也の「恋愛は12世紀のヨーロッパで初めて「発明」された。それは、この時期に個人が成立したからだ」といっていることと合致しているか。
 エンゲルスが『フォイエルバッハ論』を書いたのは1888年
1888-800≒1100年 → これは12世紀である。合致している。
 「恋愛は12世紀に成立した」という話は多くの人は知らない。これを知って驚く人が多い。しかし、すでに19世紀末にエンゲルスが書いているところを見ると、多くの少なくともこの本の読者層にとってはよく知られたことではないかと推測される。
以上、研究メモ