湿った空気と乾燥した空気はどちらが重いか

2001年の仮説実験授業研究会の冬の大会で「湿った空気と乾燥した空気はどちらが重いか」というレポートを発表しました。そのときの分科会報告の一部を掲載します。

以下分科会報告の一部

〈湿った空気と乾燥した空気はどちらが重いか──地球の水循環が起こる理由〉
 湿った空気と乾燥した空気は(同じ温度としたら)どちらが重いかという問題について分科会参加者に予想してもらったところ,「湿った空気の方が重い」という人の方がが多かった。
予想の理由
Aさん「学校では雨が降った後3階は先に乾くが1階はなかなか乾かない。これは湿った空気の方が重いということではないか。」
Bさん「空気の中に水分子が入るには,空気の酸素なり窒素なりの分子を追い出さなければ入れない。水分子の方が,たとえば酸素分子より軽い。(酸素原子1個の代わりに軽い分子である水素分子が2個付くんだから)湿った空気の方が軽い。」
という意見が出されました。レポートではアボガドロの法則を用いて計算し,湿った空気の方が軽いことを示していて,湿った空気が上昇気流になると主張しています。これについては疑問が出されました。また,大会数日前に吉村七郎さんがこのレポートを読んで,「水の分子がいくつかくっついていることはないのか,そういうことがあれば,湿った空気の方が重くなるのではないか」という疑問をファックスで寄せていたことが紹介されました。
 理科年表で調べてみると,湿った空気の密度は乾燥した空気の密度より小さい,理科年表の値はレポートの計算で求めた値にきわめて近いので,「湿った空気の中で水分子がいくつかかたまっている」ということはなさそうです。佐藤重範さんから「この問題は実験できないか」という意見が出されました。