創造的に生きるとはどういうことか

板倉聖宣さんの本『脚気の歴史』仮説社840円の書評を、アマゾンのカスタマーレビューに投稿しました。今のところ2人の人からよかったという反応がありました。
 今後も良書の書評をアマゾンのカスタマーレビューに投稿したいと思います。
以下書評
 かつての日本では毎年1万人以上がt脚気という病気で死んでいた。日清戦争では戦死する兵士より、脚気で死ぬ兵士の方がはるかに多かった。当時、脚気の治療法の発見が切実に求められていたのである。
 どんな人が脚気の治療法を解明したのだろうか。当時、日本の医学者が手本としていたドイツには脚気という病気はなかった。脚気は日本の医学者が自らの力で治療法を見い出さなければならない病気だったのである。
 脚気(対策の最高責任者は森林太郎森鴎外)である。彼は19歳で東大医学部を卒業した超優等生だった。鴎外は脚気の原因を突き止めることができただろうか。彼は何もすることができなかった。脚気の原因を突き止めたのは、いずれも当時の優等生でない研究者たちだった。どうしてそんなことになったのだろうか。
 当時の日本は「模倣の時代」だった。ヨーロッパやアメリカの知識をいち早く吸収する能力を持つ者(すなわち優等生)が尊重される時代だったのである。鴎外は模倣の天才であったが、創造性が求められる脚気の研究においては無力だった。
 詳しくは『模倣の時代』に書かれている。ある大学の医学部ではこの本の内容を講義しているそうである。
 今や模倣の時代は終わった。現在およびこれから最も必要になるのは創造性である。現在の日本の(さらに世界の)窮状を救うのは鴎外のような優等生でなく、
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