N極だけの磁石と受験の物理

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 家庭内の事情でしばらくアップできませんでした。一段落したので少しずつアップする予定です。
 写真は、松本市のKさんの発表をもとにした、推薦入試の小論文の指導でN極だけの磁石が電流のまわりをまわることを示す実験。Kさんに装置を借りてやってみると見事に電流のまわりをゆっくり回りました。電流のまわりにはほんとに電流をとりまくように磁場が出来ているんだと言うことを感動的に実感しました。
 小論文の課題は自分のやった実験をOHPシート10枚にまとめ、発表するというものでした。教科書の「磁針のN極が示す向きが磁場の向き」という説明はわかりにくく、「N極だけの磁石に力を加えるなにもにかが磁場」「N極だけの磁石が動く向きが磁場の向き」という説明の方がわかりやすいことを強調。生徒は見事某国立大学工学部に一般推薦で合格しました。1年後順調にやっているということで感謝を述べに保護者が学校を訪れました。Kさんのおかげです。ありがとうございましす。
 退職後、再任用で物理を教える教壇に復帰するため自分が物理を復習するために頼まれた2年生の補習を喜んで引き受けました。その時期に家庭内で病人が出ててんやわんやでしたが、何とか準備して補習をやりました。入試問題の解説というのは、それはそれでなかなかおもしろいです。生徒は「入試問題は難しい」ということだけわかった?入試問題の作られ方、攻略法、考え方のポイントを説明することができました。
 問題文に「ある速さv以下ではボールは標的に届かない。どのくらい以下では届かないか。」という問題を不等式を立てて解こうなどとしてはいけない。ギリギリで届くときの条件を等式を立てて解き、その答より小さい速さでは届かないというように答えなさい。など、受験の物理指導では普通にされているのでしょうか。気体の問題を考えるのに気体でなくピストンに働く力のつりあいを考えたり、今年のセンター試験の浮きに働く力を求めるのに、問題で聞かれていないおもりに働く力の釣り合いを考えて、そこから浮きに働く力のつりあいを考えるなど、受験のテクニックを説明しました。入試問題を100問解けば大抵の問題は解けるようになる。問題は一人で考えて解けなくて時間を費やしてしまうより、最初から解答を読んだ方がいい。その後で解答を隠して解いてみなさい。など、こんな受験指導をしました。その結果は?
 受験指導は本気で研究している人が案外少なくて、問題の答を説明しているだけの演習指導が多いようです。受験生の立場に立てば、「なぜそのような解き方に気がつくのか」という疑問を持つはずです。その疑問に答えうるような説明をすれば多くの受験指導よりずっとわかりやすく効果的な指導ができるのではないかと考えています。(このブログ掲載の「チャート式と将棋の公式」参照)