白髪頭に整髪料をつけたら前より黒く見えるか

9年前に書いた物理の授業の一工夫を掲載します。

白髪頭に整髪料をつけたら前より黒く見えるか
         2000年10月28日

[問題]
 ある人が「白髪頭でも、整髪料をつけると黒く見える」と言いました。そう言われてみれば、そんな気もします。しかし、これはボサボサ頭がていねいになでつけてあるためにそのように感じられるだけなのかもしれません。
 実際に整髪料をつけない頭をよく見ておいて、その後整髪料をつけるとつける前より黒く見えるでしょうか。

実験のしかた
 サークルの人にまずよく頭を見て白髪の程度を見てもらいます。次に整髪料をつけてから、同様に見てもらいます。そこで、「変わらない」「少しは黒く見えるようになった」「ずっと黒く見えるようになった」の内から選んでもらい、手を挙げてもらいます。その結果はどうなるでしょうか。

予想
 ア、「ずっと黒く見えるようになった」が多数派
 イ、「変わらない」が多数派
 ウ、「少し黒く見えるようになった」が多数派
 エ、見え方が人によって違い分散する。


予想を出し合って討論しましょう。

実験の結果


私の予想
ア、「ずっと黒く見えるようになった」が多数派

 白髪の表面に当たった光は散乱される(乱反射される。一部は吸収される)。これが白髪が白く見える理由である。

 表面に整髪料がつくと、整髪料の表面でごく一部の光が反射し(その反射率はガラスに垂直入射の場合で4%だから、整髪料の場合も数%と見ていいだろう)大部分の光は整髪料の層の中に入る。その光は髪の表面で散乱されそのかなりの部分は全反射のために整髪料から出ることができない。そのため、反射率が低くなり、黒く見えるというわけである。
 道路が乾いているときは白く見え、雨で濡れると黒く見えるのもこれと同じ理由であろう。

キーポイント 全反射