仮説実験授業は文化革命

牧衷さんの講演「戦後精神とは何か」の一部を紹介します。
 一つには日本の文化全体の中にある一つの大きなうねりが戦後にあった。そのときのうねりというのが何人かの心を強く揺さぶってその人間の一生を決めてしまうようなインパクトがあったんですね。実は板倉聖宣の中にも僕はそういう気概を感じるんです。
 それがなくなっちゃうと、仮説実験授業は僕に言わせると腑抜けになっちゃうんです。俺の目で見、俺の頭で考え、自分の足で立つんだという覚悟、それをこしらえるためにやっているんです。だから一種の文化革命をやっているんです。単なる授業の改善をやっているんじゃないんです。単に授業法の改善と思いたくないんです。単なる授業改善になっちゃったら仮説実験授業はおしまいだと。魂が抜けちゃう。その授業は簡単じゃないですよ。なにしろ、勉強は苦しいものだという勉強観から、勉強は楽しいものだというコペルニクス的転回をやろうと言うんですから。これは容易な話じゃない。天動説から地動説への展開に2世紀かかったように、これは恐らく2世紀かかるような仕事です。始めてまだ50年経っていないですね。