受験参考書の復刻

 今日(2009年10月12日)の朝日新聞に「参考書 復刻ブーム」という記事が大きく載っていました。山崎貞著『新々英文解釈研究』が研究社から復刻。3000円。現在6刷8000部の売れ行き。また、『新釈現代文』がちくま学芸文庫で復刻され、こちらは2万部の売れ行き。読者層は40代~50代が多いそうです。
 「受験参考書」というとそれだけで毛嫌いしたり、悪いものと考えたりする人もいるようですが、かつての本格的な受験参考書は青年期に熟読するに足る、哲学的、思想的深みを持ったものでした。こうした受験参考書でつけた学力を基礎にして各分野で活躍している人は多いと思います。
 私は田島一郎著『よくわかる数Ⅰ』だったか『よくわかる数ⅡB』だったかにたいへんおもしろい例題が載っていて、後日、その問題を探してみたのですが、未だに見つかりません。これからも探してみようと思います。こうした受験参考書は古本屋も引き取らないため、入手できないのです。
 それはともかく、よい受験参考書はよい例題が載っています。よい授業では先生が、よい問題を取り上げています。よい授業をするにはよい問題を探すなり作るなりする必要があります。しかし、よい問題はやたら転がっているわけではなく、簡単に思いつくことが出来ることでもありません。
 JS教研の理科分科会に参加しました。生徒に提示する問題が少し変わっただけで生徒たちの考えが全然違う方向に行ってしまうというよい実例がいくつかありました。よい問題を提示するということは難しいことなのです。
 しかし、仮説実験授業はよい問題の問題集という面も持っています。仮説実験授業が生徒に支持される理由はよい問題を提示されて頭が活発に働き賢くなったと生徒たちが思えるからだと思います。仮説実験授業はよい問題を生徒に提示するようになっている授業ということができるでしょう。
 授業ばかりでなく、運動でも、その正否は問題提起にかかっています。運動を起こそうとする人は、運動に参加する人によい問題提起をしなければなりません。問題提起がおかしいと運動がうまく成立しません。多くの運動がうまくいかないのは問題設定、問題提起がよくないからなのです。
「よい問題の発見」こそが、よい授業、よい受験勉強、よい運動が成立する鍵なのです。