アダム・スミス マルクス ケインズ

牧衷さんの座談の一部を紹介します。

 重商主義では経済を封鎖してしまうのでアダム・スミスは「お金を貯めるのが大事だという考えはダメだ。富の源泉は(貯めたお金ではなく)労働である」と主張するわけですね。つまり経済政策としては自由放任にすればいいというわけです。そうすればいい社会になるはずだったんですけど、どっこいやってみたらそうはならない。とんでもないロンドンのスラムの実情を見てエンゲルスは怒り狂い、マルクスはカッカとしそれで社会主義へ行くわけです。ケインズの場合について言えば、ケインズの時代のイギリスの主流の経済学は「大不況克服するのに要するに賃金が高すぎるからいけないんだ。だから賃金下げればいいんだ」という話になるわけです。そうするととにかく生産が縮小して行くわけですから、(うまくいくわけない)その状況にケインズは頭に来るわけですね。冗談じゃないって言って。ケインズマルクス嫌いで有名な人ですけど、オレは金利生活者をやっつけるためならば労働組合とだって手を組むし、共産主義者とだって手を組むと言って、怒り狂うわけですね。そうじゃなくて、生産を刺激することによって失業率は回復するんだ。労働賃金下げることによってではなくて、雇用の機会を増やすことによって景気が回復する。機械がたくさんあって働きたい人がたくさんいる。要するに失業者というのを正統派経済学だともっと自分を安く売りさえすれば職にありつけるのに自分を安く売らないために失業しているととらえる。だからこれは自発的失業であると言うんだよ。ふざけちゃいけないと言ってケインズは言うんですね。そんなのを自発的失業だと言ってどんどん賃金を下げていって経済が成り立つものか。そうでなくて雇用の機会を増やさなければいけない。どうするかと言えば、有名な穴掘って穴埋めたっていいんだという話になる。これは下世話に言えばそうやってお金を使えば金持ちに金持たせても貯め込んじゃうけど、貧乏人は宵越しの金なんか持てないんだから、みんな使ってしまう。そうすれば経済が活性化する。