公開授業

6月19日(土)は中学生とその保護者向けの公開授業。1時限目は2年生の化学。小テストの後、化学反応式の導入。ぼんてん分子模型を一人一人に持たせて一酸化炭素と酸素が化合して二酸化炭素になるという化学反応を原子の組み替えでやってもらいました。それを化学反応式に書くととても簡単な話のように感じられます。
中学生1名と、その父親らしき人が授業参観。
 メタンの燃焼を分子模型で示して、化学反応式を書き、係数を決めていくやり方の説明をしました。さらにプロパンとエタンの燃焼の化学反応式の説明。「わかった」という生徒と首を傾げている生徒がいました。化学反応式は慣れていないための難しさもあるようです。化学反応式の説明になるともうわからないと言ってわかろうという意欲をなくしてしまう生徒もいると聞いています。今のところ、生徒は意欲的にやっています。見に来た人たちはどう思ったでしょうか。
 2時限目は3年生の物理で《ものとその電気》蒸し暑くて静電気の実験には最悪の条件でしたが、実験はすべてうまく行きました。廊下でウロウロしている数人の女子中学生に教室に入って授業を見るように勧めましたが、遠慮したいというそぶりで教室には入ってきませんでした。
 静電気の最重要点は「静電誘導」。平賀源内はオランダ渡来の壊れた「エレキテル」をもらってきて修理して実験しようとしましたが、うまく行きませんでした。これは「静電誘導」を理解していなかったからだと思います。静電誘導をイメージできるようになることが、静電気を理解する鍵であり、コンデンサーの入試問題が解けないという生徒は静電誘導を理解していないのです。生徒をびっくりさせる静電気の実験はたくさんありますが、静電誘導をきちんとイメージさせる授業は今のところ仮説実験授業の授業書《ものとその電気》による授業だけ(と言ったら言い過ぎ?)のように思っています。今後の授業展開が楽しみです。
 摩擦電気はそれだけでは取り出せないのですが、静電誘導により取り出し、小分けにし、ということが可能になります。それによってクーロンの法則を数量的に確認することができるのです。発泡スチロールに起きた電気は電気量を2倍にするということは実験技術的には不可能ですが、静電誘導によれば可能です。それにしても静電誘導を理解するには《自由電子が見えたなら》の内容の理解が不可欠です。3年生の物理選択者の1円玉は電気を通すかという問題の正答率は5割以下でした。「1円玉には酸化被膜があるはずでは」という質問が出ました。2年生の化学で65分授業3コマかかった内容は、やはりきちんと理解し使いこなすようになるのは簡単でないようです。「時間をかけなければわからない内容をわからないまま、説明をどんどん進めても生徒の学力がつくわけではない」のですから、「仮説実験授業は時間がかかる」という批判は当たらないと思います。