楽しい授業とおもしろい授業

板倉聖宣さんの80歳記念講演会、パネルディスカッションで、板倉聖宣さんは
「楽しい授業とおもしろい授業をきちんと区別しなければいけない。楽しいはhappy,おもしろいはjoyfulで全然意味が違う。子どもたちはきちんと区別している。仮説実験授業は楽しい授業であって、おもしろい授業ではない。」
と言って、認知心理学会で主流となっている考え方を批判しました。物理学会で物理教育に力を入れている人たちの目指していることは「おもしろい授業」です。
 今ある多くの授業の工夫は授業をおもしろくしようとする工夫です。「実験のときは生徒は喜んでいるけど、その後の説明になったとたん説明を聞く気をなくす。」という嘆きを聞いたことがありましたが、おもしろい授業を目指せばそうなるでしょう。仮説実験授業をやれば楽しい授業ができます。でも、仮説実験授業をやるには覚悟が必要です。おもしろい授業の工夫は努力は必要ですが、覚悟は不要です。授業をおもしろくしようとする取り組みはまずいことをやっているわけではないのですが、授業が抱える根本問題の解決にはならないのです。授業の改良を軽視するのも誤りですが、それが根本的な解決策だと思うとしたらそれも大きな間違いだと思います。