戦略を間違えると必ず負ける5

牧衷さんの講演の一部を紹介します。
以下講演
教育の改革のポイントは教員の自由
 フィンランドの教育についてインタビューする番組を見たとき、インタビューしていた東大教育学部の教授が言っていることはピントはずれだった。フィンランドの文部大臣はちゃんとしたことを言っている。「教育の改革のポイントは教員を信用したことです。」と言っている。教育一人一人が自由に教科書を選び自由に授業ができるようにする改革をしたという話をしているのに東大の教育学者はそれに反応しない。給料がどうかとか、教育制度の質問ばかりする。教育学者は教育制度の研究をしているだけなんです。
 教育を改革するにはまず信用を信用することが先なんです。信用するに足る教員が雀の涙ほどしかいないというのは実感しています。でも信用する方が先です。信用すれば人間は働くんですよ。
 信用に値しない人間を信用すれば日本の教育はめちゃくちゃになる。でもそれからよくなる。指導要領なんてやめて、だいたいの水準を示してあとは任せてしまう。フィンランドの文部大臣はそういうふうにしましたと言っているんです。でもこれは教員にとっては厳しいですよ。淘汰されちゃうんだもの。 「ひどいことになった暁にはオレがなんとかしてやる」という自信がなければ言えないですよ。生徒の日常を見ていたら生徒を信用しろなんてこと言う人に冗談じゃないと言いたくなると思うけれども、やっぱりいい教育は生徒を信用するということからしか出てこないです。信頼を先に立てれば一時期ひどいことになる。教育は100年を考えなければいけない。5年くらいひどいことになったって構わない。
 問題解決学習が悪いわけではなく、問題解決学習では取り上げる問題が悪かったんですよ。要素が複雑すぎて。要素を整理してどういう実験するかという実験計画を立てて実験するでしょ。要素が複雑なのを整理するのが科学者の研究の大部分の仕事なんです。つまり、問題をはっきりさせたら問題を半分解決したに等しいというのはそこなんです。問題解決学習はその60%の要素を整理するという仕事をしないでやったらかだめだったんです。問題は教師が与えなければだめです。問題を見つけるのは大変なことですから専門的な研究者の研究課題です。