資本と労働の対立から自由と平等の対立へ

牧衷さんの講演の一部を紹介します。
 自由と平等は根本的に対立する原理です。僕にとっては、国民国家という枠組みが資本主義生産様式という枠組みよりはるかに重要な枠組みです。だから、その間で社会主義革命が起こって、消えて、その間に国民国家という枠組みは一回たりとも揺らいだことはありません。国民国家という枠組みの方がはるかにしっかりした枠組みなんです。それが今ゆらぎはじめているから、大変動の時代になっているんです。これの行き先は歴史をわかっていればわかるんですが、statesの枠組みが変わるには少なくとも200年はかかる。ゆらぎ始めが起こったのは第二次大戦以後ですから、そこから数えてまだ50年ばかり。
 そのときに僕は自由と平等が対立軸になると考えたのは、自由と平等の対立が形を変えて資本と労働の対立となっていたからと考えたからです。もともとそういう自由と平等の対立だったんだ。資本と労働の対立が全然別のものの対立に変わったんじゃない。